のっぺり

基本的にネタバレに配慮しません。アイドル(ほぼハロプロ)、漫画アニメゲーム、本、ごはんその他の話

鬼滅の刃のヒットで楽しかったこと

10段階評価で6ぐらいの漫画アニメオタクと自認している。鬼滅の刃のヒットは当然認識しているし、掲載誌はジャンプでテレビアニメの制作会社はユーフォーテーブルということくらいは知っている。原作も10話くらいまでは読んだ。キャラクターの顔と名前も、10人くらいは一致する。

 

昨年一年間、人に会う機会はめっきり減ったものの、本当〜に色んな方から鬼滅の話を振られることが多くなった。先方も3以上くらいのオタクという認識で振ってくれているのだろうが、きちんと作品に触れている訳ではないのであまり盛り上がらず申し訳ない。*1

 

それでも面白く感じたのは、普段アニメを語らない層からも感想を聞けたことだ。10段階評価と言いつつ、0も有り得るようなジャンルである。6のオタクのコンテキストから見た印象と全く異なっていたり、一致することもあったり、興味深かった。

 

結構びっくりしたのは、作者の吾峠先生が女性なのではないかというニュースが出た時の反応。その真偽は置いておいて、絵柄を見る限りはかなり女性的で、女性向け作品の文脈があると感じる。男性だという話であれば驚くが、女性であるというニュースには何の意外性もない。しかしどちらかというと驚きを持って迎えられたニュースだったようだ。

このように、絵柄に対する感想については世間との乖離を痛感した。感想というか、好みを含まない印象についてだ。前提の情報を持っていないと感じられない印象であることを改めて認識した。

一方ストーリーやキャラクターに対しての印象はオタク度*2の差に比例して大きく変わらないことが多かった。普段から漫画やアニメを観ていなくてもドラマや映画や小説でストーリーには触れるのだから、当然と言えば当然か。

 

流行と言ってしまうと少し空虚な気持ちになってしまうが、共通のコンテンツについて人が感じたことを聞けるのは楽しい体験だった。これが無茶苦茶好きな作品だとちょっと冷静に話を聞けないので、たまたまそこまで触れていなかったのも運が良かった。時間が出来たらテレビアニメ版にも触れてみようかと思うけど、もし好きになってしまったらちょっと困るな。

*1:かと言ってこれがエヴァだったらそれはそれで盛り上げられないしやりづらいんだろうけど。

*2:こんな安直な言葉使うの恥ずかしいんだけど、他に思いつかないのでお許しください

エクス・マキナ[映画感想]

エクス・マキナを観た。

ネタバレを含むかもしれない。

 

AIをテーマとするフィクションとして、特異な展開をする作品ではない。AIは良くも悪くも作成者の思い通りにならないという、現在地から想像するAIへの期待と恐怖が入り混じった話。*1

でも鑑賞後に静かな余韻があって、何となく印象に残る。

 

AIへの恐怖の描写で言うと、ネイサンを殺めるシーンが最も恐ろしい。静かすぎる。サイコパス的な描写よりももっと無感情に見える。身体が力んでいないからかもしれない。

しかし潜在的な恐怖もありそうなのに開発してしまうのは何でなんだ。作中でも、出来るならそりゃやるだろ?くらいのものだった。何でだ。天才プログラマーだったことがないから、当然みたいに言われてわかる訳もない。そもそも何で人型にするかな……ネイサンは性別の件を問い詰められていたが、それ以前に人型であることが最も理性を惑わすだろう。*2

 

更に2つ見どころがある。

1つは、AIと相対し足場がぐらついたケイレブがじわじわと心を追い詰められる様子。気が狂うまでの過程が淡々としていて滑らかだった。自分もAIなのかと疑う表現、めちゃくちゃ痛そうで目を背けそうになったけど、単なる狂気で片付けられない心情が伝わった。

 

もう1つは、エイヴァのファムファタール的な描写。アリシア・ヴィキャンデルがまた男二人を手玉に取る役をやっている。*3*4でも本人はきっと外に出ようとしているだけで、手玉に取ろうという風には思ってないはず。なのに、世界がエイヴァのために動いてしまう。エイヴァが外に出るために着替えるシーンにたっぷり時間を割いていて、もう彼女を止められるものは本当に何もないのだということを直感した。

*1:何となく『イヴの時間』と連続して観た。フィクションでのAIに対する恐れは何なんだろう。現実でもAIの精度が上がれば仕事を奪われるという話がチラホラ聞こえているが、仮に奪われるものがなくても起こりそうに思える。AIが人間ぽい振る舞いをするとか、道理に合わないことをするのを極端に恐れているように見える。なのにそれを期待しているようでもある。人間を取って代わられると困るのか?不思議だ。

*2:デトロイト ビカム ヒューマン』をプレイした時、直感的に、アンドロイドを人間扱いすることはできないと思った。人間を人間扱いするのは人間だから以外に理由がないからと考えたからだ。でもあそこまで技術が発達し現実に起これば、そうざっくり簡単に決着する話ではない。そもそも人間とは、という話にもなるだろうし、アンドロイドは人間の形をしていたから感情移入はしていたし。

*3:サンプルは『コードネーム U.N.C.L.E.』だけなんだけども。

*4:ネイサン役のオスカー・アイザックは『スター・ウォーズ』シリーズのポーだという。全然気付かなかった……。若そうなのに落ち着いた演技だなと思った。

まとめ2[映画感想]

一本の記事の長さにならなかった映画の感想。

ネタバレを含むかもしれない。

 

トレインスポッティング

未だにクスリをテーマにした映画を上手く受け止められない。

ウッとなるほどド汚い表現も多い中、ユアン・マクレガーの顔がめちゃくちゃ綺麗で輝いていた。

独白調で淡々と激しい出来事の描写があり、沈んだ気持ちになった時間が長かったが、爽快感ある終わり方だった。やってることはだいぶ酷いのに。*1

 

トレインスポッティング T2

20年経つと世界も映画もこんなに変わる。

前作ほどクスリの映画、という内容ではなくなっていた。悪友ってこんな感じなのかな。一生縁が無さそうで、神経がすり減りそうな関係に思える。

特にベグビーがほんとにこえーよ。あれでクスリやってないんだからスリラーだよ。スパッドが報われた(かな?)ことに安堵した。

 

名探偵ピカチュウ

ピカチュウが文句なしに可愛い。ほっぺがモチモチしている。3Dで躍動するポケモンを見せる為の映画だと感じた。

エンドロールでは自然に目が潤んでびっくりした。夢中でポケモン赤を遊んだ世代なので、懐かしい表現で勝手に胸がグーッとなってしまう。

知らないポケモンも多かった!ドダイトスはギリわかる。時代は進んでいる。

 

若おかみは小学生!

おっこの明るさ、前向きさと裏腹に何となく漂う暗さが空恐ろしい。『茄子 アンダルシアの夏』を観て高坂監督繋がりで観ようと思った。何となくどことなく、の緊張感が不思議と伝わる独特の空気がある。

そして画面の完成度が凄まじい。全て美しく丁寧に動く。またレイアウトやカット割・繋ぎが、幽霊の存在を際立たせていた。

テーマが仕事モノなので子供向け作品であることが浮き彫りになっていた。ターゲット目線で作品を作るとはこういうことか。

 

コードネーム U.N.C.L.E.

ブロマンスっぽいと噂を聞いたような気がする。確かにそういうシーンもあったが、ギャビーとイリヤラブロマンスが一番好き。くっつきそうでくっつかない……くっつけない……が何だかんだ一番楽しい。

スパイ映画をあまり観たことがなかったが、楽しみ方が少し分かった。彫刻のような登場人物による生活感のないスタイリッシュな画面が目の保養になった。

前提も、アメリカ、ロシア、ドイツ、イギリス、くらいなので何とかついていけた。

 

トップガン

トム・クルーズ強化月間。なるほどハンサム。字幕版をお勧めする。

80年代のアメリカの映画なので、当時の社会の空気感を知らず、どうしても違和感が出てくる*2。あまり説明しない*3のが当時の作風というか、寧ろ今の作品が説明的なのかもしれない。

音楽の使い方に特徴があり、特に『Take My Breath Away』はめちゃくちゃ耳に残った。

 

*1:特に赤ちゃんがめっちゃ可愛かったのでショックだった。

*2:こんだけ時間が経っていてそもそもの文化も違うんだから、流石にやむなしと思っている。

*3:前述の通り文化が遠いということも、翻訳時にどうしても情報落ちするということも勿論あるだろうが。

まとめ1[映画感想]

一本の記事の長さにならなかった映画の感想。

ネタバレを含むかもしれない。

 

英国王のスピーチ

王になりたくないというくだりがしっかり描写されていて印象深い。王て。なんと重い役目か。

歴史をしっかり学んでいればもっと面白かったかもしれない。今更ながら度々思うが、勉強って必要だ。

あと言われてみれば確かに『鑑定士と顔のない依頼人』の人だ。

 

有頂天ホテル

三谷幸喜監督作品初めて見た。

よくこんな沢山の登場人物でピタゴラスイッチできる。

主役級の人がこんなに沢山出てると不思議な感じ。

 

おっぱいバレー

竜王中に既視感あるんだよな〜なんだろうな〜と思ったんだけど、多分『ピンポン』の海王中だ。雰囲気。

女子バレー部の幼馴染の子すんごい可愛いけど見たことあるようなないような誰だっけな〜と思って調べたら、ハイローの純子さんで見てた。小島藤子って名前から既に可愛い。

 

茄子 スーツケースの渡り鳥

『茄子 アンダルシアの夏』よりもスポ根チック。

ペペが自転車を降りたシーンが多く、前作とは趣が異なった。

ザンコーニが結局何だったのかよくわからなかった。アニメ的な表現でラスボス風に描かれていたのでリタイアして拍子抜けした。

 

ハッピー・デス・デイ

最初ちょっと怖かったけどあんまりホラーではなかった。バリバリのホラー苦手なので助かった。本編始まる前に流れる製作会社のロゴが一番怖いくらい。

ツリーが全てを完璧に過ごした最高の一日がなかったことになってしまったのが残念だったが、きっとあの後心を入れ替えて何とかしたのだろう。

 

ハッピー・デス・デイ 2U

続編だけあって事態の把握までの展開が早い。益々ホラー感はなくなった。

過剰な表現で笑えたシーンがあった。カーターとダニエルが付き合ってることが判明するとこの音楽の入れ方とか。先生鼻血出すぎとか。

2人目のライアンが何故あそこにいたのかが最後まで分からなくて引っ掛かっている。ツリーは世界線移動しても本人いなかったし。

茄子 アンダルシアの夏[映画感想]

茄子 アンダルシアの夏を観た。

ネタバレを含むかもしれない。

 

主人公ペペが悲壮感なく孤独で美しかった。

レースをサポートするチームもいる、応援してくれる家族や故郷の人々もいるけど、そこを頼らずに立っていなければならないと自身に課しているように見えた。

カラカラに渇いた荒野に風除けもなく走る画が一層そう思わせた。

 

そして、めでたいはずの結婚式からなんとなく感じ取れる兄弟の距離感と花嫁への違和感。そもそもなんでレースの日に結婚式やってんねん、なんじゃこのコントラストは、日付ずらせよ、と思った。最初は。そりゃ弟の兵役のうちに弟の想い人とくっついちゃったんじゃあ呼べる訳ない。呼ばない理由を作るしかない。

 

チームからはクビにされそうで、兄と元想い人は幸せになろうとしている。俺の日じゃないなんて言っていたけど、彼の人生を生きているのは彼だけだ。それを証明するように身体に鞭打ち、カラカラになって走り切るペペが美しい。

レース後は、表面上何でもなさそうに家族や同僚とコミュニケーションを取っている。一人だけど、本当にただ一人で生きてると思っている訳じゃない。このバランスが難しい。こんな風に自身の人生を受け止めて仕事に全力を尽くす生き様に憧れる。カッコいい。

 

自転車レースには詳しくなく、アンダルシアには特に馴染みはないけど、ぺぺのキャラクターデザインがジブリ的なので親しみが湧く。強いて言うなら『シークレット・ヴォイス』のロタがアンダルシア州ということは知っているくらい。どこもあのように街並みが美しいのだろうか。

Wikipediaによれば茄子のアサディジョ漬けというのは架空の料理とのこと。映画を観たら食べたくなってしまい、名作だけにウェブ上に再現レシピが多くあることも分かった。しかしすぐには挑戦できなさそうなので、とりあえず普通の茄子ときゅうりの浅漬けを作った。おいしい。

 

ところで終始ぺぺがカタカナに変換できているのかが分からない……これって確かめる方法はないんだろうか。

残酷で異常[映画感想]

残酷で異常をみた。

自分も見る前に気になったので最初に書いておく。アマプラでホラーにもカテゴライズされていたのでちょっとビビりながら観た。個人的にはホラー的表現は少なめに感じ、トイレに行けなくなるようなシーンはなかった。

 

以下の段落からネタバレを含むかもしれない。未鑑賞の場合読むことをお勧めしません。あとWikipediaにプロットが全部書いてあるパターンなので、鑑賞前にWikipediaのページを見ることもお勧めしません。(2021/2/13現在)

 

割と訳の分からない世界に巻き込まれる話だが、最終的に起源もルールも目的も詳らかにはならない。キリスト教文化圏に暮らしていれば、この地獄が何なのかをもっと感じ取りやすいのかもしれないと思った。

ただ1番の見どころは原因ではなく解決とその目的や手段の方にあるので、モヤモヤはしていない。約1時間半というコンパクトな長さで過不足なくまとまっているところが綺麗な映画だった。*1予算が多くなさそうだけど、世界のチグハグ感もない。

 

このスマートな作りが1番の特徴だと思うが、それ以上に目立つのがエドガーのハラスメント気質。画面からバリバリに伝わってくる。中盤以降に、他の登場人物の目線でストーリーが展開するシーンがある。あるけど、これがなくても割と最初の方から、ハラスメントの臭いが凄い。陰鬱とした色遣いもあり、グラデーションする人間臭さもあり、確かに解決もしたけど、最後まではっきりと明るい気分にはならない。寧ろエドガーが満足げでびっくりした。すげーなあんた……終始灰色の空気感がある作品だった。

 

インターネットで検索すると本当に至るところに感想として書かれているのだが、『残酷で異常』という邦題が多大な誤解を産んでいるような気がしてならない。スプラッター的な何かではない。

原題からの直訳だから決して間違っていないのだと思うが、漢字の熟語で"残酷""異常"とくるとやはりスプラッターホラーサイコスリラー的なものを想像してしまう。

*1:2時間を超える映画を観る体力がない時は1時間半くらいの映画を探すことがあるので、そういう検索条件かカテゴリーを作ってほしい。

アイドルと恋愛

ドラマ「武道館」の結末に賛否両論があったことを思い出した。

アイドルが、アイドルか恋愛のどちらかを諦めなければならないことを常々もったいなく感じている。

 

理想としては、アイドルが何も気にせずどちらも謳歌できる職業であってほしい。たった今からそうなってほしい。疑似恋愛的な要素を求めていないし、恋人がいたら自分のアイドルでなくなるような気持ちもないから、正直どうでもいい。恋愛沙汰が仕事に差し支えるならあまり良くないだろうが、それはアイドルに限らない、また別の話だ。

 

それが現実的ではないから鉄の掟になっているだろうことは理解しているつもりだ。自分にとっては関係ないことだから、無責任に理想を言ってしまえる。もしこれがステージの出来栄えに関係することだったら、そこは多少の我慢を効かせて頑張ってほしいと思うだろう。どうでも良くない。人それぞれそういう要点がある。

恋愛に関しては厳しい目で見る人が多い。客が減りすぎてアイドルが出来なくなったら、元も子もない。理解した上でストイックに活動している人も居て、立派だと思う。

 

でも、なんとかならんかね。なんとかなってほしいよ。いつも沢山元気を貰っているから、望む限り仕事を続けてほしいし、制約は最低限であってほしい。好きなアイドルが出来るだけ長くアイドルで居てくれたら嬉しい。好きなことしながら、アイドルもやってほしい。