のっぺり

基本的にネタバレに配慮しません。アイドル(ほぼハロプロ)、漫画アニメゲーム、本、ごはんその他の話

百合の日なので百合映画の話

今日は百合の日らしいので、百合映画の話。

と言ってもとりわけ百合映画を好んで観ている訳ではない。

そもそもファムファタール的な女が出てくる映画が好きで、そういう女が狂わせるのは男の人生だけではなかったというだけのことかもしれない。たまたま出会った百合映画というのが正しい。

ネタバレを含む。

 

1964年公開、増村保造監督のもの。どんな関係の百合なのかと言えば、性愛。これを愛と言うのかはわからない。憧れや執着をこじれさせた何かにも見える。

自覚の薄いファムファタールが好きだけど、本作の光子は割と意識的に動いていそう。ただどこか無垢な雰囲気があるのはやっぱり若尾文子の力だろうか。

 

よこがお

ついこの間初めて観たばかりで、当初は市子さんへの同情的な気持ちが強かった。時間が経つにつれ、百合的な描写が効いてきた。

市子さんの魅力に入り込めなかったり、基子がちょっと子供っぽすぎるところが引っかかったりはした。だけど互いに互いのファムファタールで、関わり合う限りどちらの思うようにも行かないだろうところが後を引かせていると思う。

 

シークレット・ヴォイス

人生の10本に入るくらい好きな作品。

本作はメインの登場人物が女性ばかり。

記憶喪失の効果もあり、罪深くも美しくイノセントなファムファタール、リラ・カッセン。ヴィオレタがリラと仲良くなって恥じらいつつ嬉しそうにしている姿がなんとも愛おしい。一方でその関係を守るための選択があまりにもシビア。破滅的な展開も含めて美しい。

焼肉屋で酒が飲めないとひとつだけ困る

焼肉屋に行った。

焼肉の時は胃袋の中身を減らしておくよう心がけて、焼肉の気分にしてやらなければならない。その辺りも万全にして行った。

 

もうそろそろ常連と言って良いほど通っている店、いつも通りにビールから…と思ったら、ビールはノンアルコールしかメニューに載っていない。というか、アルコール飲料がメニューから消えている。

すっかり失念していたが、この辺りの店は自治体からの要請で酒類の提供を取りやめているのだった。

 

残念ではあるが、なにしろ焼肉屋だ。酒がなくとも白米と肉があれば十二分に楽しめる。一推しのハラミをしっかりタレにつけてご飯を食べた。いつも通り非常に美味しい。焼肉最高。

 

ただひとつだけ困ったことがあった。ユッケ*1だ。折角来たのだから頼まないわけには行かないが、ユッケだけは酒と合わせたい……たいけど無理なものは無理。

今回は白米と合わせた。それも美味しい。美味しいのだけど、やはり一番は酒との組み合わせだ。早くユッケと酒が一緒に食べられるようになるといい。

*1:この店では桜ユッケ。

野崎まど『タイタン』[読書感想]

『タイタン』を読んだ。

ネタバレを含む。読む前にネタバレを見ない方が良い作品だと思う。

 

ネットニュースか何かで、労働のなくなった世界が舞台の作品と知って手に取った。なんて羨ましいことだろう。読んだのは連休も終わりの頃だったので現実との差が酷かった。

 

本作作中でAIやロボットにすべての「仕事」を任せた結果、もたらされたのはモノに時間に余裕のある生活だった。なんと羨ましいことか。もし資本主義に終わりが来るのなら、こんな風に終わって欲しいと願わずにはいられない。そう上手くはいかないことは分かっていても、あんな風に穏やかな生活を夢想した。

 

AIに多くの仕事を任せる設定のSF作品では、大概AIと人間が対立する(偏見)。しかし本作で人間の面倒を見ているAIであるタイタンは人間を愛していて、人々も無意識下でそれを信じている。そこに通底する安心感があって、コイオスと内匠成果の旅を穏やかな気持ちで見守ることが出来た。神に愛されているような安心感とはいかほどのものだろう。

 

仕事が嫌いなので、仕事とは何かという問いにあまり深く考え込むことはなかった。しかしこの世界での趣味とはなんだろう。仕事という概念がないと考えると、趣味の輪郭がぼやけた。やることなすこと全て趣味になる。

最も印象に残っているのは、仕事をする自分を認めてもらえたことでタイタンに感謝している旨をナレインが打ち明けるシーンだ。何よりも仕事がないと生きられない人もきっとたくさん居るのだろう。現実世界にも。

ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット[映画感想]

スナイダーカットを観た感想。

ネタバレを含む。

 

映画にもアメコミにも、思い入れも強くなければ造詣も深くない*1。劇場版との違いがわからなかったらどうしようと思ったくらいだった*2

しかし4時間以上あるにも関わらず、特に退屈することなく最後まで鑑賞した。寧ろ時間を多く使っていることで、全体の流れの緩急がはっきりとして乗りやすくなっていたのかもしれない。

特別なファンでもないのに感想を書くのがなんとなく憚られるのだが、待ち侘びたという待望感がなくてもグッとくる作品だった。

 

ざっくりとしたあらすじは劇場公開版と同じなのだが、こんなにわかにもはっきり分かるほど、道のりがだいぶ異なっている。経緯はよく知らないが、違う作品だと思った方が良いのだろうか。

特にフラッシュとサイボーグ。キャラクターの掘り下げが大幅に増え、連携してユニティの結合を食い止めるシーンなどは息を詰めて食い入るように観た。

 

フラッシュが光速を超え相対性理論を飛び越えるシーンには目頭が熱くなった。彼に感情移入してのことではない。劇場版より描写が多かったとは言え、彼のバックグラウンドの掘り下げは深かった訳ではない。

あのシーンの、台詞、演技、スローモーション、構図、色味、音楽、スピードアップという彼の能力、すべてが噛み合い、目的を果たす描写が格別に美しかったのだ。

名狙撃手*3に脚を撃たれた時は正直彼はもうダメなんだと思ってしまった。まさかここでこんなにも渾然一体となった美しさを見せられるとは予想外だった。

 

そして間髪入れずにサイボーグの戦い*4

既に苦しみ抜き父との軋轢と和解を経て自己受容していたから、僅かな躊躇いすら織り込み済みだったようで、ほとんど迷うことがなかった。

三人並んだ家族の向かいでサイボーグの姿になったり、進む先に薄ぼんやりとジャスティス・リーグの面々が見えたのは、通常であれば過多というか、くどいくらいの描写だったかもしれない。しかしビクターが迷わず負の感情を否定するシーンだったからこそ、必要だったのだと思う。

フラッシュとはまた違う種類の、積み上げた描写からまっすぐ進むシンプルな感動があった。

 

スーパーマンワンダーウーマン、アクアマンについては単独作品の人物像と変わりなく*5、どちらかと言うとアクションシーンでの見せ場が多かったように思う。画面の美しい作品だった。戦いを終えて6人並んだシーン*6など、神性すらある。

 

で、バットマンだ。

本作のバットマンは、リーダーとしての尽力に描写の重きが置かれていた。バットマンvsスーパーマンを含め、彼の極めて個人的な感情の動きを、垣間見る機会すらなかったように思う。

 

それが最後の夢のシーンでの、ジョーカーとの押し問答。一体何が彼をこんなに駆り立ててしまうのだろう。(ジョーカーか……)メラとの会話のリーダーぶりからうって変わって完全に個人ではないか。

DCEUのバットマンはこんな奴だったか。今、そんなところでやり合っている場合なのか。ていうか、何の話をしているのか。ハーレクインとロビンの話なんじゃないかと思うけど、何があったらそうなるのか。事実なのか。片方がジョーカーの時点で考えるだけ無駄か。

 

しかし憎しみを剥き出しにする姿に震えた。心をガリガリ削りあう緊張感が堪らないシーンだった。2人で会話してるだけの、しかも今の時点では具体的に何があったのか分からないシーンにこんなに惹かれるとは。まぁ夢なんだけど、バットマンの暗がりを覗いたと思うと昂ってしまった。

 

劇場版もあり、どういう扱いになるのかがいまいち分からないが、続編の予定はあるんだろうか*7

*1:DC系映画の視聴歴はダークナイト三部作、マンオブスティール斜め見、バットマンvsスーパーマンワンダーウーマン2作、アクアマン、シャザム!、劇場版ジャスティスリーグ、ジョーカーといったところ。コミックは触れたことがない。ダークナイトワンダーウーマンが好きという、すごくよくあるパターン。好きである。

*2:前にジャスティス・リーグを観た時と違うところと言えば、ザ・ボーイズを鑑賞済みであること。スーパーマンを見てホームランダーを思い出し、走っている時に目を瞑るフラッシュを見てAトレインのように事故を起こさないか不安になった。

*3:あのスピードで走ってるフラッシュに一発で当てるってどう考えても並のパラデーモンじゃないよね?

*4:この連続性もまた良かった。息をつく間もなく畳みかけられ、大きく心揺さぶられた

*5:アクアマンはこの後の作品なので、変わりないというのは違うかもしれない。違和感がないという方がしっくり来る。

*6:真横の方と左奥から手前に向かう方、甲乙つけ難い!

*7:予定のあるフラッシュがとても楽しみになった!マルチバースってどんなんだろう

インスタントラーメンには落とし卵派

夜中にどうしても醤油ラーメンが食べたくなった。どう考えても身体に悪いので、虚空に向かって「醤油ラーメン食べた〜い」と放つなどしてなんとか自分を制した。

 

しかし起き抜けにフルの食事を食べられる体質なので、翌日の朝食をコンロ下の収納に入っている袋麺に決めた。本当に一番食べたいのは、ストレート細麺で上品に透き通ったスープの上品な醤油ラーメンだけど、そういうのは店に行かなきゃ食べられない。朝ラーメンをやっている店を見つけたとして、きっと外に出かける元気はないだろう。しかもあの袋麺、たまたま醤油だ。

なんだかとてつもなく楽しみに感じられてきて、布団に潜り、具に思いを馳せた。冷凍の豚バラがあったはず。あとは卵もある。

 

インスタントラーメンに入れるなら、落とし卵がいい。例外的に、塩の場合はかきたまでも良い。今回は醤油だから、きっと落とし卵にしよう。でも、黄身の熟し具合がちょうどよくならなかったり、白身がバラついたり、いつもあまり思い通りにいかない。

ググると、茹でているところに大さじ1の酢を加えれば、白身が上手く固まり黄身の固さも調整しやすくなるという情報があった。しかし家にあるのは最も安価なタイプの袋麺だ。麺を茹でた湯をそのままスープに流用する手順になっている。当然そこに卵も落とすつもりである。わざわざ卵とラーメンを別にする程の手間はかけたくない。

それって、スープがすっかり酢の味になってしまうのではないか。

 

起きるとまだ5時半だった。いくらなんでも早すぎる。どれだけ楽しみに思っていたというのか。二度寝を試みるも上手くいかず、7時には布団から出た。それでも早いが、目的を果たすまではまた寝ることなど出来ない気がした。

醤油ラーメンだ。朝インスタント醤油ラーメン。人間は自分で決めた幸福の条件を達成すると実際に幸せを感じられるとかなんとか。とにかくラーメン。小鍋に水を入れて火にかけ、卵を冷蔵庫から出しておき、常温にする。前夜からほったらかしの食器を洗い、スタートダッシュこそイマイチだったものの、ここ数日で急激な伸びを見せている豆苗の水を換え終えると、湯が沸いてきた。

説明書きを見ると、茹で時間は3分。先ずは麺を入れ、タイマー2分とSiriに伝えた。落とし卵の固さには、大きさ、温度、時間など様々なコンディションが関わってくる。今日の卵は少し小さいから、時間を短くするつもりだった。

タイマーが鳴ったところで卵を割り入れ、酢を目分量で投入した。少なかったかもしれないと思ったが、すぐに酢特有のツンとした匂いが広がった。酢、強い。

更に1分経ち、箸で卵をつついてみると、まだかなり柔らかく、液状であるようだった。半熟は好きだが、黄身が全てスープに溶け出してしまうのは本望じゃない。更に30秒待ってから火を止め、粉末スープを混ぜた。

 

丼に盛りながら気付いた。卵に夢中になるあまり、豚バラを入れ忘れていた。まぁいいか、今日の主役は卵だ。

食べてみると、たしかにいつもより卵が綺麗にちょうど良く仕上がっていた。白身が固まり、黄身は半熟。

スープはやはり酢が強く、酸辣湯麺のような味だった。決して不味くはなく、これはこれで美味しい。しかし、スープへの影響を最小限にしつつ卵を整えるくらいの、酢の分量を知りたい。コンロ下にはまだもう一つ、袋麺が残っている筈だ。

やる気はないです。

今週のお題「やる気が出ない」

 

やる気が出ないとか言いつつ仕事に対してやる気があったことがそもそもなかった。

 

だけれども、やる気がない奴というのは一般的に、まともに仕事をやらない奴と捉えられてしまう。就職する時の面接で、やる気なんかないけどちゃんとやりますと言っても信じてもらえないだろう。しかし我ながら、かなり真面目に仕事をこなしていると思う。*1

だから、やる気があるかとか楽しいかとか聞かれたら適当にはぐらかしてきた。*2お金がほしいというモチベーションだけがある。できれば、やる気の有無より実際の仕事の結果を見てほしい。

 

いつしかやる気がないことを気にするのをやめた。目の前の仕事をこなすことにいっぱいいっぱいだった時に気付いた。やる気を気にすると気分が落ち込む。ちっともやりたくないんだから。やる気はないけれども、とにかくできることをやる。そしたら給料が貰えるんだからそれで良い。気が楽になった。

 

やる気が出なくて後ろめたかった。でも心持ちを変えることは難しかった。やる気がない人なりに、なんとかやることをやっていく。

*1:文面から分かる通りデキる訳ではないけど、それもまたやる気とイコールではないと思う。そして真面目さが重宝される場面もある。

*2:やる気ある人用の仕事振られたら嫌だから。

まとめ5[映画感想]

一本の記事の長さにならなかった映画の感想。

ネタバレを含むかもしれない。

 

ターミナル

アメリアと結ばれなかったのは意外だった。更に空港の外に出てから、まるで空港の中での出来事が夢だったかのような気分になるのも不思議だった。「家に帰るよ」と言った時には、飛行機に乗るために空港に立ち寄るだろう彼を想像できないくらいだった。

感染症が流行っていなければ空港に遊びに行きたかった。

 

戦場のメリークリスマス

明らかに分かりやすい映画ではないので、序盤を見ている間は何一つ理解出来ないかもという不安な気持ちがあった。しかし最後のハラとローレンスのシーン、会話の様子が戦時中と全く変わっているのを見て少し腹落ちした。

公開当時にどんな風潮だったのかは分からないが、少なくとも今の自分が見ると戦時中の日本人の精神性は理解し難い。ただ、ベースは未だに染み付いている気もする。表出する振る舞いには個々の人間性の他に社会の影響が多大にあって*1、それが同時に顔を出すので矛盾の塊のように見える。

各々の登場人物がそのバランスを取るのに苦労している訳だが、ビートたけしの演技からはそれが何でもないように感じられて、異彩を放っていた。バランスを崩しまくっている坂本龍一の存在感も凄まじい。

見なければならないものがきっぱり切り取られたような構図が印象深い。セリアズの首には目が釘付けになった。

 

ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

人間の味方となる怪獣かはどうやって判定しているのだろう。モスラは美しい、というのが何となくスライドして、善い、の扱いになっていたが誤謬にしか見えず気になった。研究機関*2がその方針では信頼がズタズタなのもさもありなん。味方であってもあんだけ街壊されたらほっとく訳にもいかないだろう。ハリウッド実写のリアリティラインだから気になるのかもしれない。

怪獣のスケールがよくわかるカットはカッコよかった。ゴジラとビル群とか。

 

CUBE

ホラーと聞いていたのでビビり散らしながら見た。スプラッター的ではある。ホラー特有のビックリシーンは多くはない。

割と何もかも謎のまま終わるが、ワースが言っていたあの建物が出来た理由の真偽は別として、メッセージ性がある気がして引っ掛かっている。

ただ何となく出来ていって、あるから使おう、使うと犠牲者が出るんだけど、となる現実のものが思い当たるような思い当たらないような。無意識に出来たものなら意識に登ってこないのも当たり前か。

マナーとかそういう、形のないものかな。マナーだって全て何となく出来たものという訳ではないだろうけど。

 

ウルフ・オブ・ウォールストリート

ジョーダンが離婚しても刑務所に入ってもずっと豊かに暮らしているのを見て、やはり金なのかと思わずにはいられなかった。そして投資は自己責任で。身に沁みる。

伝記ものは、プロットの全てが全ては舞台装置になっていない。だから全体が長くなるけど、省けない出来事も多くあるということがよく分かった。

 

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

このつっけんどんというか、ちょっと突き放されるような感覚すら覚える作品を観たのは久しぶりだった。そんな中で際立って分かりやすいクェスのエディプスコンプレックスぶりが歯痒い。子供は嫌いなんて言っているシーンは自身のことも嫌いだと言っているように見えた。

アムロとチェーンはキスシーンに至るまでもなく、明らかに寝たことがある男女の仲が見て取れて不思議だった。距離が近すぎるんだろうか。今回、閃光のハサウェイが話題になっていたから観た訳だが、ハサウェイくんは結構な業を背負ってるじゃないの……。ブライトさんの心痛たるや。

シャアはヤバい奴という認識は元からあったけれども、改めて見るとアムロも普通にヤバい気がした。何がと言われると難しい。まぁそれも最後のララァお母さん発言でシャアの印象ばかりが強く残ってしまうのだが。

ガンダムucと同じく、ファーストガンダムの記憶が薄まり過ぎて100%は楽しめなかったかもしれない。

*1:ローレンスやセリアズ他欧米の俘虜たちの振る舞いにもきっと現れていたんだろうけど、日本勢があまりにも極端なのでそちらが多く目についた

*2:モナークって研究機関でいいんだろうか?