シャッターアイランドをみた。
ネタバレを含むかもしれない。未鑑賞の場合読むことをお勧めしません。
結構好きな映画だ。
レオナルド・ディカプリオはメンタル面で追い詰められる役が上手い人なんだな。『インセプション』でもこんなんなってたしハマってた。焦りと、そこから来る苛つきがひしひしと伝わる。見事に主人公に感情移入させられた。
どの立場に立ってもそこそこ辻褄が合ってしまうので、終盤まで、具体的には灯台のドアを開けるまで、オチに気付かなかった。
テディから見た矛盾は確かに怪しく思えたし、暴力以外に大きな違和感はなかった。
自分がテディの立場だったとして、世界がこんな風に見えていたらどうだろう。自ずから違和感を手掛かりにして事実に辿り着くことが出来ただろうか。恐らく出来ない。
映画の伏線を素晴らしいと思うのは、その引っ掛かりの大きさが絶妙な時だ。オチを予想できるほど大仰では意味がないし、引っ掛かりすぎて続きが入ってこないほどではいけないし、全く引っ掛からないのも意味がない。本作は上手い匙加減だった。オチを知って初めて、あんなシーンがあったと思い出せるくらいの印象の残し方だ。
ただこの映画を好きだと思ったのは、ミステリーとしての仕掛けが巧妙だからというだけではない。
一番最後のシーン。何一つ思うように行かせられないアンドリューが、ただ一つ選択できたことが、悲しいけれど救いでもあるように思えた。オチの衝撃よりも、この表し難い余韻が印象的だった。