茄子 アンダルシアの夏を観た。
ネタバレを含むかもしれない。
主人公ペペが悲壮感なく孤独で美しかった。
レースをサポートするチームもいる、応援してくれる家族や故郷の人々もいるけど、そこを頼らずに立っていなければならないと自身に課しているように見えた。
カラカラに渇いた荒野に風除けもなく走る画が一層そう思わせた。
そして、めでたいはずの結婚式からなんとなく感じ取れる兄弟の距離感と花嫁への違和感。そもそもなんでレースの日に結婚式やってんねん、なんじゃこのコントラストは、日付ずらせよ、と思った。最初は。そりゃ弟の兵役のうちに弟の想い人とくっついちゃったんじゃあ呼べる訳ない。呼ばない理由を作るしかない。
チームからはクビにされそうで、兄と元想い人は幸せになろうとしている。俺の日じゃないなんて言っていたけど、彼の人生を生きているのは彼だけだ。それを証明するように身体に鞭打ち、カラカラになって走り切るペペが美しい。
レース後は、表面上何でもなさそうに家族や同僚とコミュニケーションを取っている。一人だけど、本当にただ一人で生きてると思っている訳じゃない。このバランスが難しい。こんな風に自身の人生を受け止めて仕事に全力を尽くす生き様に憧れる。カッコいい。
自転車レースには詳しくなく、アンダルシアには特に馴染みはないけど、ぺぺのキャラクターデザインがジブリ的なので親しみが湧く。強いて言うなら『シークレット・ヴォイス』のロタがアンダルシア州ということは知っているくらい。どこもあのように街並みが美しいのだろうか。
Wikipediaによれば茄子のアサディジョ漬けというのは架空の料理とのこと。映画を観たら食べたくなってしまい、名作だけにウェブ上に再現レシピが多くあることも分かった。しかしすぐには挑戦できなさそうなので、とりあえず普通の茄子ときゅうりの浅漬けを作った。おいしい。
ところで終始ぺぺがカタカナに変換できているのかが分からない……これって確かめる方法はないんだろうか。