のっぺり

基本的にネタバレに配慮しません。アイドル(ほぼハロプロ)、漫画アニメゲーム、本、ごはんその他の話

ジャスティス・リーグ: ザック・スナイダーカット[映画感想]

スナイダーカットを観た感想。

ネタバレを含む。

 

映画にもアメコミにも、思い入れも強くなければ造詣も深くない*1。劇場版との違いがわからなかったらどうしようと思ったくらいだった*2

しかし4時間以上あるにも関わらず、特に退屈することなく最後まで鑑賞した。寧ろ時間を多く使っていることで、全体の流れの緩急がはっきりとして乗りやすくなっていたのかもしれない。

特別なファンでもないのに感想を書くのがなんとなく憚られるのだが、待ち侘びたという待望感がなくてもグッとくる作品だった。

 

ざっくりとしたあらすじは劇場公開版と同じなのだが、こんなにわかにもはっきり分かるほど、道のりがだいぶ異なっている。経緯はよく知らないが、違う作品だと思った方が良いのだろうか。

特にフラッシュとサイボーグ。キャラクターの掘り下げが大幅に増え、連携してユニティの結合を食い止めるシーンなどは息を詰めて食い入るように観た。

 

フラッシュが光速を超え相対性理論を飛び越えるシーンには目頭が熱くなった。彼に感情移入してのことではない。劇場版より描写が多かったとは言え、彼のバックグラウンドの掘り下げは深かった訳ではない。

あのシーンの、台詞、演技、スローモーション、構図、色味、音楽、スピードアップという彼の能力、すべてが噛み合い、目的を果たす描写が格別に美しかったのだ。

名狙撃手*3に脚を撃たれた時は正直彼はもうダメなんだと思ってしまった。まさかここでこんなにも渾然一体となった美しさを見せられるとは予想外だった。

 

そして間髪入れずにサイボーグの戦い*4

既に苦しみ抜き父との軋轢と和解を経て自己受容していたから、僅かな躊躇いすら織り込み済みだったようで、ほとんど迷うことがなかった。

三人並んだ家族の向かいでサイボーグの姿になったり、進む先に薄ぼんやりとジャスティス・リーグの面々が見えたのは、通常であれば過多というか、くどいくらいの描写だったかもしれない。しかしビクターが迷わず負の感情を否定するシーンだったからこそ、必要だったのだと思う。

フラッシュとはまた違う種類の、積み上げた描写からまっすぐ進むシンプルな感動があった。

 

スーパーマンワンダーウーマン、アクアマンについては単独作品の人物像と変わりなく*5、どちらかと言うとアクションシーンでの見せ場が多かったように思う。画面の美しい作品だった。戦いを終えて6人並んだシーン*6など、神性すらある。

 

で、バットマンだ。

本作のバットマンは、リーダーとしての尽力に描写の重きが置かれていた。バットマンvsスーパーマンを含め、彼の極めて個人的な感情の動きを、垣間見る機会すらなかったように思う。

 

それが最後の夢のシーンでの、ジョーカーとの押し問答。一体何が彼をこんなに駆り立ててしまうのだろう。(ジョーカーか……)メラとの会話のリーダーぶりからうって変わって完全に個人ではないか。

DCEUのバットマンはこんな奴だったか。今、そんなところでやり合っている場合なのか。ていうか、何の話をしているのか。ハーレクインとロビンの話なんじゃないかと思うけど、何があったらそうなるのか。事実なのか。片方がジョーカーの時点で考えるだけ無駄か。

 

しかし憎しみを剥き出しにする姿に震えた。心をガリガリ削りあう緊張感が堪らないシーンだった。2人で会話してるだけの、しかも今の時点では具体的に何があったのか分からないシーンにこんなに惹かれるとは。まぁ夢なんだけど、バットマンの暗がりを覗いたと思うと昂ってしまった。

 

劇場版もあり、どういう扱いになるのかがいまいち分からないが、続編の予定はあるんだろうか*7

*1:DC系映画の視聴歴はダークナイト三部作、マンオブスティール斜め見、バットマンvsスーパーマンワンダーウーマン2作、アクアマン、シャザム!、劇場版ジャスティスリーグ、ジョーカーといったところ。コミックは触れたことがない。ダークナイトワンダーウーマンが好きという、すごくよくあるパターン。好きである。

*2:前にジャスティス・リーグを観た時と違うところと言えば、ザ・ボーイズを鑑賞済みであること。スーパーマンを見てホームランダーを思い出し、走っている時に目を瞑るフラッシュを見てAトレインのように事故を起こさないか不安になった。

*3:あのスピードで走ってるフラッシュに一発で当てるってどう考えても並のパラデーモンじゃないよね?

*4:この連続性もまた良かった。息をつく間もなく畳みかけられ、大きく心揺さぶられた

*5:アクアマンはこの後の作品なので、変わりないというのは違うかもしれない。違和感がないという方がしっくり来る。

*6:真横の方と左奥から手前に向かう方、甲乙つけ難い!

*7:予定のあるフラッシュがとても楽しみになった!マルチバースってどんなんだろう