映画感想。ネタバレあり。
リトル・ミス・サンシャイン
ハタから見てどんなに無茶苦茶でも、好きに楽しく生きてるのを見ると羨ましく眩く思う。人生はくだらないミスコンの連続と言われていたけれど、くだらないって心から思えるようになるまでが難しい。
あと彼らは父親との不和はあれど最初から家族をちゃんとやってるように見えて、そこは別に全然ダメじゃない。アイスクリーム皆で食べたり、幸せそうにも見える。
ステージに皆で上がって踊るのは流石に思い切ってるけど、彼らにとって真に大切なものが益々明らかになっただけで、割と初めの方からしっかり助け合っていたと思う。だからこれは、問題を解決する映画ではなくて生き様を示す映画なのかな。これがいいのだ、という。
あとは正直多少太ってたところで主役の子が一番可愛いのがな……可愛さに癒される一方、説得力が減った気もする。
グリーン・ブック
差別の話は辛いな。実情をどのくらい描けているのか分からないが十分に辛い。
こう、文化圏も違ってフィクションで、客観的に見るとどうしてこんな酷いことができる、と思えるけど多分現実では自分も簡単にできてしまうだろう想像がつくのが怖い。無論やりたくないけど。酷いことをしようとしてこうなのではなく、考えるまでもなく極めて当たり前の振る舞いとして染み付いている描写が恐ろしかった。
トニーは黒人差別をやめたのではなくて、ただただドクと友達になっただけなのだと思う。
あの夏のルカ
存外説教臭くないというか、やろうと思えば出来たろうにあんまり問題提起とか答えとか反省を強く打ち出してきてない。そういう場合は色々、ご都合主義でも気にならない。その時その時に、大事なものを大事にする生き方がそれだけで眩しかった。ルカが友達を大事にできてほっとした。
アルベルトがシー・モンスターだと明かす時の、モンスターらしさの表現がよかった。同じキャラクターを如何様にも見せられる。あとは水の表現すごいなぁ。膨らむ波が美しかった。
イタリアはこういうカラッと晴れた海街のイメージが強い。『アクアマン』でも似た光景を見たような。船着場の先に石畳の広場があって、という。『ニュー・シネマ・パラダイス』は街の渇き具合なんかは似ているものの、海がないので新鮮に感じた。
マグノリア
トム・クルーズって良くも悪くも必ず存在感が出てしまう俳優だと思う。本作のフランク役は良い方向に存在感があった。なんかわからんけど見るとザワザワ、イヤな気分になる。マチズモへの嫌悪感ではない。マチズモの皮を被った何かへの、畏怖と憐れみの混じったような。
複数の人物について相似的な立場や想いがある構成になっているけど、後世代で解決して快感を得るためのものではなかった。重ねること自体が目的というか。ほんのり虚しさが残る。
天使にラブ・ソングを…
多分むかーしに見たことあったと思うけどストーリーをすっかり忘れていた。
デロリスの人と接する時のバランス感覚が絶妙だけど、人気者だからこその振る舞いだな。ウーピー・ゴールドバーグって声に出して言いたくなる名前だ。
修道院長はマクゴナガル先生だったのね。
ジャック
大人にも子供にもなれない悲しみが痛烈だった。でも、一緒にいてくれる人がいて良かった。一歩踏み出した先の新しい世界があんな風に、辛くも希望に満ちていてほしい。祈りたい気持ち。
誰とも違いながら輝く星の決意の、なんと尊く寂しいことか。きっと多くの人を励ました。あの家庭教師は一体何者なんだ……。
初めて友達ができた時の電話コードに絡まるジャックはまさに10歳だった。ロビン・ウィリアムズはすごい。