のっぺり

基本的にネタバレに配慮しません。アイドル(ほぼハロプロ)、漫画アニメゲーム、本、ごはんその他の話

THE BATMAN-ザ・バットマン-[映画感想]

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ザ・バットマン観てきた。ネタバレあり、特に配慮しない感想。バットマンのコミック未読なのでところどころ頓珍漢かもしれない。

 

呪いのような魅力

ロバート・パティンソンバットマンを絶対に色っぽくカッコよく撮るという意志があったに違いないと感じた。画の力が強い。

目の周りを真っ黒にして終始諦観めいた顔のロバート・パティンソンのリキ*1たるや、観てしばらく経ってからも、あのねっとりした目を思い出してじわじわ魅力に蝕まれている感じがしてしまう。観た直後より今の方が、なんだか印象が強まっている。

ブルースは人を避けているけど、人に興味がないどころか、終始絡みつくような視線で人を見ている。生から離れたような、まさに死んでるモノみたいな色気。やたら脱ぐのに違和感があるほどだった。背中の傷をなんか…見せたかった?のか?ちょっとわからない。細くてバットマンとは別人なようにも思えるし、孤独で地続きなようにも見える。

確かにマスクの上から見ても黒塗りになっているから、脱げばああいう目もとになっているには違いない。けれども今まで観たことがない表現だったので新鮮だった。骸骨のようで退廃的な美しさの演出に一役買うし、目もとが強調されるし、マスクの下で顔を塗った犯罪者と同じ顔をしている表現になる。あと何より、ロバート・パティンソンに良く似合っている。本作においては一石四鳥くらいある。

 

本作のブルース・ウェインは間違ってもジャスティスリーグのリーダーをやらなそうだ。エズラ・ミラーのフラッシュと会話しているところが見たくはあるが。フラッシュがヒいちゃうか。

 

リドラーバットマン

[3/20 追記、更新、削除]

リドラーにはバットマンの正体が割れていたと解釈していたのだが違うみたいなので、書き換えた。

 

ブルースがターゲットになった時、誰が開けるかが確実でない小包を使うなんて、随分と雑な殺し方だなと思った。だからこそリドラーバットマンの正体に気付いていたのかと思い込んでしまったのだが、どうもそうではないらしい。人との交流を絶っているからああするしかなかった…のか?

 

最終局面で、リドラーバットマンのやっていたことを分析して真似たのだと言った。確かに、時にバットマンゴッサムの民衆を軽んじてさえ街を支配しようとしていたように見えた。

クイズに答えれば命が助かるなんてどう考えてもあり得なかったのに、リドラーと一緒になって検事に迫った。キャットウーマンに彼女の友人の自業自得を言い捨てた。

リドラー(たち)とバットマンは仲間なのだ、と言われる意味は分かる。リドラーバットマンの心の奥底の望みには気付いていなかったけど、何をしても街を変えなければという姿勢はちゃんと汲み取っていた。

 

ヴィランとは違うと言えるか

バットマンは復讐者なのか。ヴィランと何が違うのか。そうでなければ、何のために何をする者なのか。

 

水に呑まれた民衆を救けに行ったバットマンのシーンは示唆に富んでいて象徴的だった。

命綱を切って、まるで事態に身を任すように、文字通り救助に身を投じた。そうして彼は、救けたい人に手を差し伸べ、その手を握り返してもらうことが出来た。それが単なる復讐者ではないことの証明だった。暗闇で発煙筒を持ち民衆を先導するバットマンの画は、闇から出て恐怖で街を支配する姿とは程遠く、まるで宗教画のようだった。

ネズミを日のもとに晒したら、の結果は、最後の、昼間に現れ人の支えになる姿が示していた。

 

母を守るための方法を誤ってしまった父トーマスと、両親を失った事件のようなことを二度と繰り返さないために恐怖で街を支配しようとしたバットマンが重なる。

ただ、この騒動が沈静化した後にバットマンがどのようにゴッサムと向き合って行くのかについてあまり想像出来なかった。復讐が目的では説明がつかないこともやるだろうが、暴力と恐怖を完全に手放すようには思えない。彼の中では折り合いがついていくのだろうか。*2

この辺り、色々エピローグとして語っていた気がするのだが思い出せない……。

 

観ている間は一つ一つの出来事を追うのに精一杯で、これはほとんど後から振り返って考えたことだ。もっと全体を見ろ、というリドラーのメッセージを思い出す。全体を見るのはすごく苦手だ。

勧善懲悪という言葉があるが、悪を懲らしめることと善を行うことが自然に結びついてしまっていて、バットマンが直接人を救けることの意味を分からずに観てしまっていた。ので、エピローグの印象が薄くなってしまったのだと思う。

そして長い映画だとより難しい……記憶もあやふやな部分があり、吹替版をもう一度観ようか悩む*3

 

恋愛要素の塩梅の難しさ

恋愛が主題ではない作品においての恋愛要素が好きかと言えば、場合による。

 

ブルースは人を避けているので、セリーナとはラブロマンスというより距離感を探り合う緊張関係にあって、そこがエロくて良かった。セリーナの方からキスしたシーンでは寧ろ残念に思ってしまったくらい。

セリーナをじっと見つめたかと思ったらコンタクトの確認でしたみたいなシーンに始まり、最後の、おっ?チューか?しないのかー!カーッ!のシーンもビリビリした緊張感が伝わった。

 

キャットウーマンバットマンの距離感は、彼女が彼のマスクの下に何があるのか気にしているところによく表れていると思う。正反対のことを言ったリドラーとの間には、それはそれで別の緊張感が生まれるとは思うけど。

 

シリアスなヒーローものの難しさ

ヒーローものやフィクションならではのハッタリの効いたシーンは嫌いじゃない*4のだが、大袈裟にシリアスな演出に見えた箇所ではちょっと我に帰ってしまった。

翻訳の都合もあるかもしれないけど、台詞だと「マローニの逮捕劇には極秘事項が?」とか、「お前の想像以上の力が働いている」とか。リドラーの言動にあまり抑制が効いてなかったり、セリーナがコンタクト入れてる場所が廃屋みたいなのに作り込んだ美しさだったり、あとはあまりにも雨降ってるシーンが多かったりとか。

ただ主にはロバート・パティンソン演じるバットマンの良さを楽しむ作品だとも思う。

 

その他細かいところで好きなところ

バットマンの足音と一緒に金属の音が鳴るところ。重厚感が増す。

・手足を縛られたペンギンがペンギンみたいにピョコピョコするところ。

 

公開日について

どこかで批判されていたのを見た気がするけど、津波のような映像を含んでいて日本の公開日が3月11日っていうのはどうにかならんかったのかな。

新型コロナでの延期アンド延期でさぞ大変だったのだろうとは思うが。

 

映画館ていいね

続編がもしあれば楽しみ。

約3時間ある映画で、観た直後はロバート・パティンソン良かったな……で頭がいっぱいだったのが、振り返ってあれもこれもと書いたので、記憶違いもありそう。すみません。

次に映画館に行くのは、吹替版を観に行く時か『シン・ウルトラマン』かなあ。

*1:力こそパワーのことが言いたい。

*2:00年代のアメリカ映画を観ると良く感じるが、アメリカではより切実なテーマのような気もする。

*3:今回はどうしてもロバート・パティンソンの声が聞きたかったので字幕で観た。じっくり内容を吟味したい時は、字幕と吹替の両方の翻訳を知っておくと良いので。

*4:少年漫画お決まりみたいな。お前あんだけ車転がっててそんだけの怪我で済むんかい!とか、銃効かなすぎだろ!とか、流石にこの人数相手は無理じゃろ!?とか