のっぺり

基本的にネタバレに配慮しません。アイドル(ほぼハロプロ)、漫画アニメゲーム、本、ごはんその他の話

残酷で異常[映画感想]

残酷で異常をみた。

自分も見る前に気になったので最初に書いておく。アマプラでホラーにもカテゴライズされていたのでちょっとビビりながら観た。個人的にはホラー的表現は少なめに感じ、トイレに行けなくなるようなシーンはなかった。

 

以下の段落からネタバレを含むかもしれない。未鑑賞の場合読むことをお勧めしません。あとWikipediaにプロットが全部書いてあるパターンなので、鑑賞前にWikipediaのページを見ることもお勧めしません。(2021/2/13現在)

 

割と訳の分からない世界に巻き込まれる話だが、最終的に起源もルールも目的も詳らかにはならない。キリスト教文化圏に暮らしていれば、この地獄が何なのかをもっと感じ取りやすいのかもしれないと思った。

ただ1番の見どころは原因ではなく解決とその目的や手段の方にあるので、モヤモヤはしていない。約1時間半というコンパクトな長さで過不足なくまとまっているところが綺麗な映画だった。*1予算が多くなさそうだけど、世界のチグハグ感もない。

 

このスマートな作りが1番の特徴だと思うが、それ以上に目立つのがエドガーのハラスメント気質。画面からバリバリに伝わってくる。中盤以降に、他の登場人物の目線でストーリーが展開するシーンがある。あるけど、これがなくても割と最初の方から、ハラスメントの臭いが凄い。陰鬱とした色遣いもあり、グラデーションする人間臭さもあり、確かに解決もしたけど、最後まではっきりと明るい気分にはならない。寧ろエドガーが満足げでびっくりした。すげーなあんた……終始灰色の空気感がある作品だった。

 

インターネットで検索すると本当に至るところに感想として書かれているのだが、『残酷で異常』という邦題が多大な誤解を産んでいるような気がしてならない。スプラッター的な何かではない。

原題からの直訳だから決して間違っていないのだと思うが、漢字の熟語で"残酷""異常"とくるとやはりスプラッターホラーサイコスリラー的なものを想像してしまう。

*1:2時間を超える映画を観る体力がない時は1時間半くらいの映画を探すことがあるので、そういう検索条件かカテゴリーを作ってほしい。

アイドルと恋愛

ドラマ「武道館」の結末に賛否両論があったことを思い出した。

アイドルが、アイドルか恋愛のどちらかを諦めなければならないことを常々もったいなく感じている。

 

理想としては、アイドルが何も気にせずどちらも謳歌できる職業であってほしい。たった今からそうなってほしい。疑似恋愛的な要素を求めていないし、恋人がいたら自分のアイドルでなくなるような気持ちもないから、正直どうでもいい。恋愛沙汰が仕事に差し支えるならあまり良くないだろうが、それはアイドルに限らない、また別の話だ。

 

それが現実的ではないから鉄の掟になっているだろうことは理解しているつもりだ。自分にとっては関係ないことだから、無責任に理想を言ってしまえる。もしこれがステージの出来栄えに関係することだったら、そこは多少の我慢を効かせて頑張ってほしいと思うだろう。どうでも良くない。人それぞれそういう要点がある。

恋愛に関しては厳しい目で見る人が多い。客が減りすぎてアイドルが出来なくなったら、元も子もない。理解した上でストイックに活動している人も居て、立派だと思う。

 

でも、なんとかならんかね。なんとかなってほしいよ。いつも沢山元気を貰っているから、望む限り仕事を続けてほしいし、制約は最低限であってほしい。好きなアイドルが出来るだけ長くアイドルで居てくれたら嬉しい。好きなことしながら、アイドルもやってほしい。

シャッターアイランド[映画感想]

シャッターアイランドをみた。

ネタバレを含むかもしれない。未鑑賞の場合読むことをお勧めしません。

 

結構好きな映画だ。

レオナルド・ディカプリオはメンタル面で追い詰められる役が上手い人なんだな。『インセプション』でもこんなんなってたしハマってた。焦りと、そこから来る苛つきがひしひしと伝わる。見事に主人公に感情移入させられた。

どの立場に立ってもそこそこ辻褄が合ってしまうので、終盤まで、具体的には灯台のドアを開けるまで、オチに気付かなかった。

 

テディから見た矛盾は確かに怪しく思えたし、暴力以外に大きな違和感はなかった。

自分がテディの立場だったとして、世界がこんな風に見えていたらどうだろう。自ずから違和感を手掛かりにして事実に辿り着くことが出来ただろうか。恐らく出来ない。

 

映画の伏線を素晴らしいと思うのは、その引っ掛かりの大きさが絶妙な時だ。オチを予想できるほど大仰では意味がないし、引っ掛かりすぎて続きが入ってこないほどではいけないし、全く引っ掛からないのも意味がない。本作は上手い匙加減だった。オチを知って初めて、あんなシーンがあったと思い出せるくらいの印象の残し方だ。

 

ただこの映画を好きだと思ったのは、ミステリーとしての仕掛けが巧妙だからというだけではない。

一番最後のシーン。何一つ思うように行かせられないアンドリューが、ただ一つ選択できたことが、悲しいけれど救いでもあるように思えた。オチの衝撃よりも、この表し難い余韻が印象的だった。

マヂラブさんありがとう

昨年末、M-1グランプリの結果を受けた漫才論争が勃発していた。優勝したあれは漫才と言えるかとかいうやつ。

そうは言ってもM-1だって結構歴史があるし、過去にも色々な漫才をした方がいたのではと思った。気になったので、年末年始にかけてアマゾンプライムにあるM-1グランプリの動画を全部見てみた。

 

面白ーっ!

漫才って面白い。しかもほんとに生き物だ。同じネタでも場と時代が違うと全然違って見える。そしてM-1は特別な大会だ。何せ若手の年間ベスト10漫才。決勝で10位は最下位とか言われたりするけど、若手の年間10位なのだ。

何を面白いと感じているのかも、ちょっと考えただけで難しい。映画『ジョーカー』の話を思い出した。ネタを暴力的と感じる時もあるけど、それは自分が距離をとって見られるかどうかで決まる気がする。

 

そこからちょっとハマって、他のお笑い番組も見てみている。今アマプラ特典の座王をもうすぐ見終わりそうで名残惜しく、少しずつ見るようにしている。

楽しみが一つ増えたので、きっかけをくれたマヂカルラブリーには大感謝している。フレンチの方が好きではあるけど、吊り革のネタも面白い。特にトイレのところ。

 

結局漫才の定義はどうでも良くなってしまったけど、あれだけ話題になるくらいのM-1グランプリの特別さもよく分かった。今年の年末が楽しみ。

ゴーン・ガール[映画感想]

ゴーン・ガールを観た。

ネタバレを含むかもしれない。

 

捜査を通じて見るぎこちない夫婦の印象から、段々と夫婦それぞれの主観の描写が増え、結局主観なのだから事実もあやふや、と見え方が変わる流れが滑らかで不気味だった。

 

エイミーを捜している最中のニックには、外から見て好かれる"夫"の振る舞いが必要だった。これがほんとにド下手クソで非常にハラハラする。そういうスリラー?

ド下手クソな上に、実際に不倫もしている。その辺の意識が薄かったからこそ、教え子で大きく年下で成人するかしないかの子と妹の家も使うとかいう外聞がだいぶドン引きの不倫をして妻にハメられてるのか……

ともかく理解のある弁護士についてもらえたのは良かった。MVPだ。この人いなかったらエイミーが戻ってくるところまで漕ぎ着けなかった。序盤は分が悪すぎてもうダメだ!死にました!ってずっと思っていた。

映画を見ている方としては色々な事実の可能性を考えるが、実際殺してはいないんだろうなとは感じた。ベン・アフレックの力だと思う。

 

最後、ダン夫妻を内側から覗いた時は暗い気分になりながらも、カタルシスがあった。エイミーがそういう女であることがはっきり表されたたからだ。なんでこんなことになってんの?とちんぷんかんぷんのまま翻弄されてからの、プライドがバカ高いので黙って従ってくださいという本人の開き直りだと、いっそ清々しい。

ただ彼女は極端にしても、役割自体は夫婦に限った話ではない。多くの人にとっては多少なりとも覚えがあるはず。親だから、子だから、友達だから、男だから、女だから、大人だから、人間だから、こうしてほしいという要求を全て避けて人と関係するのは、現状なかなか難しい。ニックがそうだったように、なんとなくでハマっていってしまうことも現実にある。

 

マーゴが双子の妹なのは、ニックに夫以外の、兄という強めの役割を登場させず、夫としての彼にフォーカスするためなんじゃないかと思った。そしてニックはこのあと父になり、益々エイミーの為の役割を濃厚にする。めっちゃ大丈夫じゃなさそう。エイミーが何を考えているかじゃなくて、自分が何を考えているのかをよく見つめた方がいい。もう遅いが。

 

1番の見どころはやはりエイミーのやべー奴ぶり。はっきり自覚があるようなので、ファムファタール感は薄い。*1

最初と最後に出てくる上目遣いのじっとりした表情のカットも印象的だが、FBIから尋問を受けているシーン、ガラス越しにニックに微笑みかけた顔がもっとも怖かった。ホラー映画か?

*1:ファムファタールの正確な定義は分からないが、他人を操る自覚薄めが好き。

パシフィック・リム[映画感想]

パシフィック・リムをみた。

ネタバレを含むかもしれない。

 

劇場公開当時はTwitter界隈で大流行りしていて、予告編などの断片的な映像をよく目にして勝手にロボットものだと思っていたんだけど違った。

 

怪獣ものだった。

まず作中最初に怪獣が登場するカットがむちゃくちゃカッコいい。痺れた。思わずいいね〜!って口から出た。あのカットが一番好きだ。巨影都市のコンセプトを初めて聞いた時みたいなワクワク感もあった。普段はどっちかというとウルトラマン派なんだけど、いやぁ〜怪獣っていいですね。*1

散々言われてそうだが、これからハリウッド版ウルトラマンをやる機会があったらギレルモ・デルトロ監督に撮ってほしい。

 

偏見で申し訳ないけど、欧米の映画で日本と中国が見事に描き分けられているのは新鮮だった。パシフィック・リムってタイトルなんだからそりゃ重要か。

一つ違和感があったのは、日本の街にあるお店の看板。ファーストネーム+店のテーマみたいな名付けのところが多くて、アメリカで多い形式なのかもしれないと思った。具体的な名前が思い出せないので今考えた例だけど、「武志と三千代のドーナツ」的な名付けの看板が出てきたので、あちらでは「ケン&メアリーズドーナツ」みたいな名前のお店がよくあるのかなと思ったという具合。

 

そんで中国のイェーガー「クリムゾン・タイフーン」の機体に漢字が書いてあるのが中国風でカッコよかった!同じ漢字文化圏でも日本だとこうはならない。

自分が文化圏の遠いアメリカっぽさ、オーストラリアっぽさ、をなかなか汲み取れないだけに、このあたりの描写を繊細に感じた。*2

*1:ウルトラマンはめちゃくちゃ詳しい訳ではないんだけど大好き。まず見た目とサイズ感が好き。シン・ウルトラマン破茶滅茶に楽しみ。巨影都市は全体的にはちょっとあれだったりするんだけど、自撮りでウルトラマンとカメラに収まれるのがすごく楽しかった。

*2:ロシアっぽさは汲み取った。