のっぺり

基本的にネタバレに配慮しません。アイドル(ほぼハロプロ)、漫画アニメゲーム、本、ごはんその他の話

エクス・マキナ[映画感想]

エクス・マキナを観た。

ネタバレを含むかもしれない。

 

AIをテーマとするフィクションとして、特異な展開をする作品ではない。AIは良くも悪くも作成者の思い通りにならないという、現在地から想像するAIへの期待と恐怖が入り混じった話。*1

でも鑑賞後に静かな余韻があって、何となく印象に残る。

 

AIへの恐怖の描写で言うと、ネイサンを殺めるシーンが最も恐ろしい。静かすぎる。サイコパス的な描写よりももっと無感情に見える。身体が力んでいないからかもしれない。

しかし潜在的な恐怖もありそうなのに開発してしまうのは何でなんだ。作中でも、出来るならそりゃやるだろ?くらいのものだった。何でだ。天才プログラマーだったことがないから、当然みたいに言われてわかる訳もない。そもそも何で人型にするかな……ネイサンは性別の件を問い詰められていたが、それ以前に人型であることが最も理性を惑わすだろう。*2

 

更に2つ見どころがある。

1つは、AIと相対し足場がぐらついたケイレブがじわじわと心を追い詰められる様子。気が狂うまでの過程が淡々としていて滑らかだった。自分もAIなのかと疑う表現、めちゃくちゃ痛そうで目を背けそうになったけど、単なる狂気で片付けられない心情が伝わった。

 

もう1つは、エイヴァのファムファタール的な描写。アリシア・ヴィキャンデルがまた男二人を手玉に取る役をやっている。*3*4でも本人はきっと外に出ようとしているだけで、手玉に取ろうという風には思ってないはず。なのに、世界がエイヴァのために動いてしまう。エイヴァが外に出るために着替えるシーンにたっぷり時間を割いていて、もう彼女を止められるものは本当に何もないのだということを直感した。

*1:何となく『イヴの時間』と連続して観た。フィクションでのAIに対する恐れは何なんだろう。現実でもAIの精度が上がれば仕事を奪われるという話がチラホラ聞こえているが、仮に奪われるものがなくても起こりそうに思える。AIが人間ぽい振る舞いをするとか、道理に合わないことをするのを極端に恐れているように見える。なのにそれを期待しているようでもある。人間を取って代わられると困るのか?不思議だ。

*2:デトロイト ビカム ヒューマン』をプレイした時、直感的に、アンドロイドを人間扱いすることはできないと思った。人間を人間扱いするのは人間だから以外に理由がないからと考えたからだ。でもあそこまで技術が発達し現実に起これば、そうざっくり簡単に決着する話ではない。そもそも人間とは、という話にもなるだろうし、アンドロイドは人間の形をしていたから感情移入はしていたし。

*3:サンプルは『コードネーム U.N.C.L.E.』だけなんだけども。

*4:ネイサン役のオスカー・アイザックは『スター・ウォーズ』シリーズのポーだという。全然気付かなかった……。若そうなのに落ち着いた演技だなと思った。