のっぺり

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シン・エヴァンゲリオン劇場版:||の準備運動[映画感想]

シン・エヴァンゲリオン劇場版:||が二度の延期を経ていよいよ明日公開ということで、準備運動を始めた。

内容は序破Qについてで、ネタバレを含むかも知れない。

 

概要

序破Qと見直す。何せ最後に観たのがいつのことやらという状態なので、割と新鮮な気持ちで鑑賞した。

ただ、テレビアニメ版*1から旧劇場版*2、または漫画版をベースに考えはする。自分にとってエヴァは既に特別なものなので、まっさらからこれを観た人がどう思うかは想像がつかない。でも今の自分だって以前ほど熱を上げているような状態ではない。心が動かなくなっていたらどうしようかと思ったけど、要らぬ心配だった。

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

序を初めて観た頃より自分が成長したことを感じた。シンジくんの胸中のなんと複雑で繊細なことか。

 

まだテレビアニメ版をリビルドしたような部分が多く、最後の渚カヲルを除けば大筋に大きな違いはない。けれどもギャグ・日常パートは少なく、シンジくんが初号機やらゲンドウやらミサトさんやら学校やらネルフやらに戸惑い、迷い、傷つきながら選択する様子にフォーカスしているので、よりシンジくんの胸中を色々と想像しながら観ることになった。彼の心情をもっとデコボコに認識していたけど、滑らか*3に感じ取ることができた。

怖いし責任は重いしエヴァに乗りたくないのに、そこにしか居場所を見つけられない。こんな状況で自分で選びなさいとか言われても……*4

今まではシンジくんがレイに自分を重ねていることに思い至らなかったけど、今回の鑑賞では自然に入ってきた。*5もしあのままレイが死んでしまったら、エヴァにしか居場所がないと思っている人が、永遠にエヴァだけを居場所にしたままになってしまう。それは、似た思いをしているシンジくんにとって悲しいことだっただろう。

 

しかしシンジくんが弱冠14歳と思うと大変気の毒だ。コミュニケーションは確かに難しい。シンジくんはその辺未熟かもしれないし一筋縄でいくタイプでもないから尚のことだけど、何より大人がわかってくれなさすぎる。ゲンドウは言わずもがな都合の良いようにシンジくんを扱うし、ネルフ全体の大雑把さったらない。酷すぎ。シンジくんの代わりがいないならそんな雑ではダメなのでは。

 

あと今更改めて宇多田ヒカルがすごい。この映画を締め括る、透明感があって力強い楽曲。

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

アスカが出てくると全体の華やかさが段違い。画面も、雰囲気も。

そしてエヴァの走るシーン、躍動感があってカッコいい!ロボットじゃなく人造人間なので曲線的、動きがしなやかで軽い。バレーボール選手のよう。バネのありそうな脚。

人間パートのシーンとシーンの性急な繋ぎ*6も好きだし、テンポが良い。2時間以内で急いでる感じもさせない。*7

 

アスカはアスカでエヴァにしか居場所がないと思っているんだけど、彼女はエヴァで結果を出すまでと覚悟を決めており、跳ねっ返りではあるが努力もしている。更に、レイとの共通点を見つけて少し気持ちを前に進めたシンジくんとは違い、自分は特別で他の人とは違うということをアイデンティティとし、拠り所にしていた。そんな彼女の、優しさを出さずにいられなかった様子が微笑ましかった。

 

皆でご飯食べてほしかったし、アスカが身を引いたことが報われて欲しかった。ゲンドウが食事会に参加しようと思ったのはレイとユイさんを重ねたからでもあるし、それだけではない。と思ったらこの事態で更に親子間に亀裂が走る。今回はゲンドウの立場も分かる。子供たちが少し大人になる過程だった。こうして人と摩擦すること、自分の願いを自分で叶えることを身をもって学んでいる。序でもそう言ったシーンがなかった訳ではないが、いくらなんでも話が急すぎて気の毒だった。

 

シンジくんまた3番目発言*8もそうだったけど、トウジの動向にちょっと不穏な演出がなされているのは並行世界を意識させるためなんだろうか。

 

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

今回配信を観る時にコメント欄を覗くまで、ここまで評価が両極端に割れている作品らしいことを知らなかった。評判が良かった破から方針が180度変わったことを考えれば当然か。とにかく、Qが好きなのでそういうことに思い至らなかった。しかし今回破と続けて見たら、思ったより破と断絶していなかった。サードインパクトが起きたのだから、こういう事態もやむなしだ。

 

しかしヴィレがいくらなんでも説明不足アンド説明不足で序盤が見ててしんどい。序でも同じことを思ったが、シンジくんに首輪をつけて繋いでおきたいなら優しくして籠絡すべきと思うのだけど、エヴァの登場人物は嘘をつかない。悪い意味で。都合の悪いことは嘘じゃなくて説明しないという方向でなんとかしようとする。嘘も方便って知ってますか。

 

序破はなんとなくタイトルの意味を想像できるのだが、Qは正直よく分からない。

散々悩み抜いてエヴァに乗ろうという意志が固まった直後*9エヴァには乗るなと言われる。現実での14年の歳月を考えれば当然だが、見知った親しい人はほぼいない。別人になっている。本当に何もなくなって、突然現れた何もかも都合が良すぎる渚カヲルに頼るしかない。結果、フォースインパクトを起こしてしまう。

三段構成としての急ではなくQの意味からすると、何かを加速させているはずなのだが、なんだろう。ファイナルインパクトまでの時間を縮めたこと?序破Qが全てゲンドウの立場からのタイトルであれば、確かにしっくりは来る。

 

過去最高にシンジくんが気の毒なのだが、何故か好きな映画なのだ。本当に何一つ思う通りに行かないところが良いのだろうか。そうかもしれない。

 

シン・エヴァンゲリオンへの期待

折角なので何が見たいかを考えてみたけど、そんなに詳しくは期待していなかった。何も期待せずに見られるのが一番良いと思うので、序破Qの連続性を心に保ち、このまま劇場に行きたい。率直にシンが楽しみ。

*1:これも朧げ

*2:アンド朧げ

*3:といっても絡み合ってはいる。唐突さを感じず繋がりを意識できる程度の意味。

*4:そんで途中から乗れと言わなくなるのも狡いと思った。乗りなさいって、最初は言ってたじゃん。更にQではアレだし。

*5:レイちゃん可愛いから気になるよね。ぐらいでスルーしてた。恥ずかしい

*6:上手く説明できないのだが、余韻なく短めにブツッと切って次のカットと同時に音がドン!って入る感じ。

*7:シン・ゴジラ』は流石に急いでいるように感じた

*8:渚カヲルによる

*9:14年経っているがシンジくんにとっては直後だ