シン・ウルトラマン感想。
ネタバレる可能性あります。
前回のあらすじ。予習の為にウルトラマン全39話を観たらウルトラマンも科特隊もすっかり好きになってしまった。いやウルトラマンのことは元から結構好きでした。ハッハッハッ…
で、シン・ウルトラマン。
思ったことは色々あるんだけど、何よりも、
ウルトラマンがなんで人間を好きになったのか全然分からない。
その違和感が一番が大きかった。
見守り続けたいと強く願われるような、愛おしいとか面白いとか思えるような魅力が、禍特対に、人間にあったとは全く思えない。神永が子供を庇った、の一点くらい?*1禍威獣の対応もほぼ打つ手なし、で終わってしまっているし、政治に巻き込まれたり国同士の力関係がどうだのと、自主的な成長を見守りたい、という期待を持てるような状態には思えなかった。寧ろ下劣な品性や絶望的なまでに自滅に向かう醜態ばかりを晒したような。
いや〜人間には希望があるとかそんな悪いところないとか思ってないけどさ、ウルトラマンの命を懸けるほどの何かがあったと、この映画観てる間だけは思わせてほしいのよ。
リアリティレベルを上げたことで寧ろ感情的な部分の説得力に欠けてしまったように思う。禍威獣を倒すほどの技術を人間が持っていないこともあるだろうけど、それでも最大限やることやるんじゃないの。倒せなければ人のいないところへ誘導するとかはさ、科特隊もやってたじゃん。外星人と交渉するなら、政治的な都合以外で、理想の為にどうしたいのかに誰かしら苦心してほしかったよ。いきなり諦めてばかりじゃん。わかるよ、これが現実だもんね。でも非現実的で荒唐無稽でいいから、ウルトラQのくだりを、人間は弱いなりになんとかやってってんだってのを、ウルトラマンにも見せあげてほしかったよ。滝くんとイデ隊員の神頼みに至るまでの差が大きすぎる。こんなにTVシリーズと同じことをやるなら人間側の描写に拘ってほしかった。上映時間とか予算とか色々都合あるんだろうけど、早々にウルトラマンの正体が割れたり神永がほぼウルトラマンになってるのは、上映時間内にこのストーリーを収める為のアイディアだよね?だからやっぱり、何とかしてほしかった。
最終的にウルトラマンが死んだことがただただショックだったのも、釣り合いが取れていないと感じたからだと思う。ウルトラマンに共感できたならきっと感動して泣いただろう。
その他所感。
・ウルトラマン初登場時の顔が絶妙に不気味。好きなリアルさだ。カットによってどのタイプのマスクを参考にしたのかが違って見える時があった。初登場時はAっぽい気がする。
・ウルトラマンと人間でコミュニケーション取りすぎで神性が失われている。もしかして私はウルトラマンをアイドルみたいに思っているのか。
・ハヤタ隊員はウルトラマンと一体となっている間も彼自身の自我が強かったように思うが、本作の神永はほぼウルトラマンだった。地球に残ると言い出した時、神永の人生を奪ってしまうことに関してはなんとも思わなかったんだろうか。
・それを見て逆に、ハヤタ隊員の中のウルトラマンは、変身する少し前からだけ身体のコントロールを得ていたのかもしれないと思った。ウルトラマンが、変身しかない、と思った時から代わるとか。
・CGのヌルッとした質感に慣れないのもあったが、ウルトラマンと怪獣の重さが失われているように見えるところに一番違和感があった。実際に地面に足がついて、プロレスできる特撮の強み。
・予告で使われてたカットが一番カッコよかった。
・手前の物で画面を狭くする構図の技法、好きだしウルトラマンっぽさも出るんだけど多すぎた。
・ウルトラマンの声がなかったのは大分寂しかった。
・メフィラス星人が変態行為とか手段を選ばないとか言ってて価値観が日本人に寄り添いすぎと感じた。ウルトラマンは外星人なので体臭を嗅がれると恥ずかしいという気持ちはないんだろう*2と思ってあのシーンをスルーしてたのに、違うんだろうか。
・最後、変身止め絵カット(戻しも)を入れてくれたのは嬉しかった。作風的に難しそうだったから。
・ウルトラマン、やっぱりスタイルいいなぁと思ったらクレジットを見た感じベースは古谷敏さん?やっぱりスタイルいいなぁ…
・高橋一生さんの声ってどこに出てた?シン・ゴジラのキャラがいたのか?
・主題歌のM八七はウルトラマンの消えた世界の寂しさと希望と生きる上で必要な強さが表現されていて、切なくなるけど少し嬉しくもなる不思議な曲。